梔子は四川大学の構内の花壇や植え込みの縁などによく植えられていました。初夏には八重の花がたくさん咲きました。成都では一重の梔子は見たことがありませんでした。西門近くの広場で毎朝体操をしていた方が、「この花は香りがいいので大好き」と話してくれました。中国ではジャスミンをはじめ香りのよい花が好まれ、初夏には町で含笑花(からたねおがたま)の蕾に糸を通したものを5毛で売っていて、それを服の前ボタンにかけていると、一日中いい匂いにつつまれます。その方は梔子の蕾もそうするといいよ、と教えてくれました。 (2007.12)(49×69.8)
2017/03/31
2017/03/27
2017/03/16
2017/03/14
2016年7月「爲華忙」展覧会作品紹介 その15 葵
2008年5月12日、四川省汶川市を震源とする大地震が発生しました。成都は沖積平野に位置し、地盤が揺れを吸収したそうで、大きな揺れはありましたが、壊滅的な被害は免れることができました。それでも学内には、しばらくの間各建物の点検補修などのため、テント村が設けられ、屋外生活を余儀なくされた学生、教職員が多数いました。特に大学東区は古い宿舎や校舎が多く、黄薇さんのアトリエのあった建物も天上が落ちたりして立ち入り禁止になりました。その一角で葵が花をつけていました。可憐なゆらぐようなその風情に、地震の大きな被害への祈りに似たものを感じました。 (2008.6.29)(27×37.6)
2017/03/13
2016年7月「爲華忙」展覧会作品紹介 その14 サボテンの花
これは、「榮寶濟畫譜」の「花卉描写法」というテキストに手本として収蔵されていた近代工筆花鳥画の大家である于非闇(1889~1959)の作品の模写です。私が初めて彩色して仕上げた作品です。これを描く前は、もっぱら「白描」といって、細筆で輪郭を描写する練習をしていました。この絵を通して、絵の具の調合や、塗り重ねによって色を作っていく基本を学びました。 (2007.5.9)(48.2×35.2)
2017/03/08
2016年7月「爲華忙」展覧会作品紹介 その13 さくらとめじろ
成都にも桜の木がいろいろありますが、ソメイヨシノはありません。いい香りがする白い桜が満開の時、ちょっと日本の桜を思い出させましたが、これには後で黄色いサクランボがたわわになりました。また、四川大学構内には八重桜が多く、黄緑がかった黄色の花が咲く欝金桜もありました。
これは日本の春を懐かしんで、荏原神社の緋寒桜が満開になるとよく来て蜜をたべているめじろを思い出しながら、成都の欝金桜を組み合わせて描きました。 (2007.7.5)(47×33.8)
2017/03/07
2016年7月「爲華忙」展覧会作品紹介 その12 梶の木と白頭
四川大学で私たちが住んでいた外国専家楼の前に、4階までとどくような背の高い木がありました。これが梶の木で、初夏に実が朱色に熟すと白頭やいろいろな小鳥たちがついばみに来てとても賑やかになります。直径3センチくらいの木イチゴのような集合果で、見たところはとてもおいしそうなのですが、人は食べられません。白頭は、日本では沖縄にしかいませんが、成都ではどこでも見られる鳥で、毎朝いい声で鳴き交わしていました。 (2007.9)(52×72)
2017/03/06
2016年7月「爲華忙」展覧会作品紹介 その11 山鶺鴒と梯梧
梯梧は沖縄県花になっていますが、原産はインドやマレー半島で、日本では沖縄が北限とされてきました。今は東京でも見ることができます。四川大学構内には、数種類の梯梧がありました。キャンパスにはアメリカ梯梧(和名は海紅豆)の並木道がありました。これは南米の原産で、花が貝殻のように開きますが、ここに描いたものは珊瑚刺桐と呼ばれるもので、花壇に植えられていました。小刀のような形の花で閉じたまま開きません。それが長い花枝に房のように咲いたり、固まって咲いたりしているのです。木の枝には鋭いトゲがあります。 (2007.9)(66.5×48.2)
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